環境感染
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2004/2005シーズン: 看護師におけるインフルエンザワクチン接種効果の検討
西島 真知子澤村 加代子丸山 久美子藤井 裕史佐藤 泰彦高橋 利弘伊藤 清隆
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2007 年 22 巻 2 号 p. 128-132

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抄録

当院では院内感染対策の一環として職員のインフルエンザワクチン (以下ワクチン) 接種を推奨しており, 2004/2005年シーズンには看護師286名中73.1% (209名) がワクチン接種を行っていた. しかし, 全看護師の16.1% (46名) が同疾患に罹患し, 日常診療業務に支障が生じた. そこで今後のインフルエンザ感染対策に役立てるために, 看護師におけるワクチン接種の有効性について検討した. 全看護師を対象に職場調査を行い同期間のインフルエンザ罹患者を抽出し (1) ワクチン接種の有無 (2) 勤務部所別,(3) 年代別にインフルエンザ罹患率, また (4) ワクチン接種の有無によるインフルエンザ罹患後の病欠日数について比較検討を行った. その結果, ワクチン接種者の罹患率は12.9% (27名) であり, 非接種者の罹患率24.7% (19名) より有意に低かった (P=0.03). ワクチンの有効性はA型よりもB型が低い傾向があり, 罹患率は勤務部所別で有意差はみられなかったが, 病棟では院内感染が疑われた. また, 年代別の罹患率を比較すると, 20代・30代においてワクチン接種の有効性が高い傾向が認められた. 罹患後の病欠日数はワクチン接種の有無で有意差はなかった. 以上の結果から, 今後もワクチンの有効性を更に啓蒙し接種率を向上させ, 流行期にはマスク着用等の院内感染対策を行い, 職員の健康管理, 病院機能の維持につなげる必要があると考えられた.

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