環境感染
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抗MRSA注射薬の適正使用を目的としたICTラウンドの効果
西 圭史中村 貴枝子岡崎 充宏永井 茂小林 治河合 伸
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キーワード: ICT, 抗MRSA注射薬, 適正使用
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2007 年 22 巻 2 号 p. 85-90

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抄録

抗MRSA注射薬の適正使用を目的として2004年9月末日から塩酸バンコマイシン (VCM), テイコプラニン (TEIC), アルベカシン (ABK) の投与全症例に対して, 医師, 看護師, 検査技師, 薬剤師によるラウンドを行い抗MRSA注射薬の投与が必要な症例か否か, 必要であれば有効な血中濃度で治療が行われるよう血中薬物濃度測定 (TDM) の実施を推奨し, また適応外使用や漫然とした長期投与にならないようラウンドを行っている.今回はラウンド実施以前の2004年1月~9月 (I期) とラウンド実施以降の2004年10月~2005年6月 (II期), 2005年7月-2006年3月 (III期) において, これら抗MRSA注射薬の使用状況について検討した.その結果, 抗MRSA注射薬使用症例は時期を経るとともに減少し, VCMのTDM実施率は有意 (p<0.001) に増加し, ABKの適応外使用もI期とIII期では有意 (p=0.03) に減少した.また投与期間は減少傾向が見られ, さらに有効血中濃度達成率, TEICの初回負荷実施率は増加傾向を示した.連日の全症例に対するICTラウンドを行うことにより確実な診断がなされた後に効果的な薬物治療が行われるようになったことが示唆された.

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© 日本環境感染学会
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