環境感染
Online ISSN : 1884-2429
Print ISSN : 0918-3337
ISSN-L : 0918-3337
ICTの病棟巡視の効果について
MRSA検出患者を中心に
丸山 久美子藤井 裕史高橋 利弘伊藤 清隆
著者情報
ジャーナル フリー

2007 年 22 巻 3 号 p. 193-196

詳細
抄録

近年, 院内感染対策の必要性が叫ばれており, 病院全体として取り組まなければならない問題である. そのための中心機関として感染対策委員会 (Infection Control Committee: 以下ICC) やInfection Control Team (以下ICT) を組織する必要がある. 当院においては2003年8月よりICTによる病棟巡視を開始し, 院内感染防止に取り組んでいる. 病棟巡視では院内感染の有無, 抗菌薬および消毒剤の適正使用等の監視を行っている. 今回, Methicillin-resistant Staphylococcus aureus (MRSA) による起炎菌率の調査及び検出材料別起炎菌率を調査した. また病棟巡視実施前後における入院患者数, MRSA検出患者数・検出件数, 抗MRSA薬使用患者数・投与日数, 抗MRSA薬使用量およびコストを比較した. その結果, 病棟巡視実施後は, 実施前に比べ, 抗MRSA薬の投与日数の有意な短縮がみられ, 適正使用にもつながっていると考える. また, 抗MRSA薬の使用量の減少により約270万円のコストダウンができたことからも, ICTでの病棟巡視は有益であると考えられた.

著者関連情報
© 日本環境感染学会
前の記事 次の記事
feedback
Top