環境感染
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気管支肺胞洗浄液からSalmonella typhiが検出された重症肺炎患者の院内隔離の経験
荒川 迪生川崎 雅規湊口 信也山本 典孝伊藤 裕康平川 千里藪内 英子江崎 孝行山本 啓之劉 樹林鈴木 迪子
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1988 年 3 巻 2 号 p. 5-9

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抄録
気管支肺胞洗浄液からSalmonella typhiが検出された重症肺炎患者を, 隔離病室を持たない岐阜大学医学部附属病院の一般病棟個室で隔離治療し, 二次感染を防止しえた. 患者は76歳の女性である. 誘因不明の発熱をきたし, 右下肺野に異常陰影を認め, 細菌性肺炎と診断したが, 治療前の血液, 尿, 喀痰の培養検査では起炎菌を検出できなかった. 抗生物質の投与にもかかわらず右肺は大葉性肺炎, 左肺の中下肺野にも肺炎が急速に進展し, 成人呼吸窮迫症候群も出現したために, レスピレーターによる呼吸不全の治療を開始した. その後, 起炎菌検出のために行った気管支肺胞洗浄の回収液からS. typhiが検出されたので保健所へ届け出た. しかし患者は重症であるために伝染病院への移送を見合わせ, 個室病室を隔離病室として院内隔離治療し, 同時に二次感染経路の遮断に努力した. 患者は播種性血管内血液凝固を起こして死亡したが, 二次感染症例および保菌者は発生しなかった.
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© 日本環境感染学会
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