抄録
2015年12月より施行された「ストレスチェック制度」では1次予防が主たる目的とされている。本稿では、ストレスチェック制度を活かした職場メンタルヘルス活動について、事業場内産業保健スタッフの立場から捉えた現状と課題について、主に3点にポイントを絞り報告した。1点目は、総合的な評価を行うことである。ストレスの状況・状態を定量的に示すことができるなど、ストレスチェック結果活用の利点を活かしながら、一方で、結果だけに頼らず、定量的・定性的情報を加味し、総合的に評価、支援していくことが重要と考えられた。2点目は、支援に際しては、個人アプローチと集団アプローチとの両輪のバランスを適切に行うことである。3点目は、ストレスチェック制度を活用した支援が、健康相談対応、教育研修、過重労働面談などのふだんの産業保健活動の相乗効果につながるよう、連携した支援を行っていくことの重要性である。今後は、産業保健スタッフ間だけでなく、人事スタッフ等とも適切な連携をはかり、各種人事施策と健康支援の施策との連携についても検討を深めていくことも、重要な課題となってくると考えられた。