抄録
【目的】
都立学校における専門医派遣事業は、平成15年度から文部科学省「子どもの健康を守る地域専門家総合連携事業(途中名称変更)」に基づく委託事業として、都立高等学校等の教職員が、地域の協力医を活用し生徒の心の健康に関する課題及び性に関する健康課題の改善・解決を図ることを目的として、平成22年より東京都の事業として実施してきた。本稿の目的は主に本事業を通じての学校との連携について、精神科医の立場から述べるものである。具体的には筆者の経験を中心に、本事業に数年間関わってきた中で印象的であった事例への対応や、学校と医療の連携における特殊性などについて述べていくものである。本発表にあたっては東京都教育委員会より許可を得た上で発表および論文化をしている。
【対象と方法】
本事業の実施状況を紹介し、筆者の経験を中心に学校場面での症例への対応について事例提示および若干の検討と考察を加え、解説する。なお、発表にあたっては個人及び集団の特定がなされないように、配慮および情報の一部改変を行っている。
【結果】
平成29年度の結果では、都立高校の188校のうち55校にて実施されており、37人の精神科医が協力医として参加。総派遣回数は176回であった。対象となった事例は178例で、行われた研修会は36回、述べ3001名が本事業に参加している。
【結論】
精神保健医療の知識を活用しつつ、柔軟な対応を現場で継続していく必要がある。