抄録
新型コロナウイルス感染症(以下、コロナ禍)が及ぼす社会的影響は、社会的弱者の若者にも影響を及
ぼしている。特に、精神疾患へ移行する可能性のある若者、すでに精神疾患を抱えながら一般就労を目指す若者にとって、コロナ禍に起因する労働環境の悪化(解雇・失業率の増加)により、働く場を失いさらに生活の場を失ってしまうことによる症状の悪化などが懸念される。
彼らの就労形態の中には、非正規雇用かつ寮付き派遣の仕事が多く、解雇によって住居も同時に失って
しまうケースも起こっている。生活環境の悪化によりさらに精神症状が顕著になることも懸念され、早期介入の必要性からもコロナ禍の中で、どのように早期に支援体制を構築し地域ならびにチームで支えていくべきかの段階になっていると考える。
一方、若者のリカバリーのスピードや可能性においては、筆者の支援機関での事例からも期待するところでもあり、彼らのストレングスを活かした支援スキームを、コロナ禍によって失われつつあるあたりまえの生活を取り戻すための就労支援のあり方を、どのようにカスタマイズしていくか本稿で考察した。
今後の雇用情勢にもよるが、大都市圏の求人と地方での求人の傾向から、さらに感染のリスクを回避する上でも生活の場を一時的に地方へ移行し就労支援を行いながら、安心安全な生活の場を提供していくことからスタートし、段階的かつ包括的な支援スキームを構築していく。