抄録
精神疾患は5人に1人が経験し、その約75%は25歳以前に発症するとされている。自身のメンタルヘルス不調・精神症状に対して、若年者の多くは戸惑いを覚え、時に自身を責め、自ら援助希求行動に至るには極めて高いハードルがある。その結果、家族や友人、学校、職場、さらには社会から孤立することも稀ではない。そのうえ昨今の新型コロナウイルス感染症の拡大、いわゆる「コロナ禍」の影響により、他者との物理的つながりのみならず、心理社会的なつながりすら希薄となっている若年者も多い。近年、精神科早期介入の一つの流れとして、若年者に向けた地域の早期相談・支援窓口を設置する試みが世界的にある。本邦においても、2019年より厚生労働科学研究費補助金 障害者政策総合研究事業「地域特性に対応した精神保健医療サービスにおける早期相談・介入の方法と実施システム開発についての研究(MEICIS)」の一環で、東京都足立区にワンストップ相談センター「SODA」が開設され、実証的な取り組みを行っている。SODAにおいて、オンライン面接を含め相談・支援を実施する中で、若年者の孤立・孤独がコロナ禍のため一層深刻化している様子が浮かび上がっている。