日本皮膚アレルギー・接触皮膚炎学会雑誌
Online ISSN : 2189-7085
Print ISSN : 1882-0123
研究
口腔内細菌アレルギー : Behçet 病とその関連疾患
金子 史男富樫 亜吏野村 絵里香中村 晃一郎
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ジャーナル 認証あり

2016 年 10 巻 5 号 p. 546-553

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抄録

 再発性アフタ (recurrent aphthous stomatitis : RAS) , 若年女性の Lipschütz genital ulceration (GU) , 結節性紅斑 (erythema nodosum : EN) などは Behçet 病 (BD) の近縁とされてきた。BD の診断では非特異的針反応が参考にされる。しかし, その陽性率は時代とともに低下し, われわれの BD22 症例中1例のみが陽性であった。一方, BD は連鎖球菌類に過敏を示し, 口内の常在連鎖球菌を含む自家唾液にも反応することから, 診断への応用可能性を報告してきた。自家唾液反応は19 例 (90.5 %) に反応し, HLA-B51 保有者は強く反応したが, 活動期患者ではさらに強く, 10 mm 以上の紅斑を示した。他方, RAS と GU は HSV, EBV 感染関与が疑われているが, 自家唾液反応結果は RAS 6例中4例 (67%) と GU 患者1例にも弱い反応を示した。血清検査では RAS の HSV 抗体は陰性, GU の病変部の EBV も陰性であった。唾液反応はEN患者, 健常コントロールは陰性であった。

 以上から自家唾液反応は BD に比べて RAS と GU は弱いが反応していることから, その発症に連鎖球菌がなんらかの役目を演じていると思われた。

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© 2016 一般社団法人 日本皮膚アレルギー・接触皮膚炎学会
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