予防精神医学
Online ISSN : 2433-4499
社会全体で考える早期介入 - 産業分野から
櫻谷 あすか
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2024 年 9 巻 1 号 p. 52-59

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抄録
労働者の心の健康の保持増進は重要な課題となっている。本稿では、労働者のメンタルヘルス不調の予防対策に注目し、ストレスチェック制度の現状や課題、および、効果的な予防対策である、「職場環境等の改善」、「管理監督者への教育」、および、「労働者個人へのセルフケア教育」について、世界保健機関(World Health Organization:WHO)が2022年に出版した、「職場のメンタルヘルス対策ガイドライン」を参照しながら紹介する。本ガイドラインによると、職場環境等の改善に関しては「参加型アプローチを含む職場の心理社会的リスク要因への組織介入」の実施、管理監督者への教育に関しては、「労働者のメンタルヘルスを支援するために、管理監督者に対してトレーニングの実施」、労働者個人へのセルフケア教育に関しては、「メンタルヘルスリテラシーを高めるトレーニングや、マインドフルネスや認知行動療法などの心理的介入および身体活動への介入の実施」が推奨されている。職場のメンタルヘルス対策を効果的に実施するためには、PDCA [計画(Plan)、実行(Do)、評価と改善(Check & Act)]サイクルに沿って、組織的に取り組むことが重要であり、本稿で紹介した対策を、「どのように職場で実施および継続できるか」という視点で参照いただけると幸いである。
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© 2024 日本精神保健・予防学会
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