予防精神医学
Online ISSN : 2433-4499
思春期青年期における注意欠如多動症の諸問題と双極性障害との併存治療を巡って
松澤 大輔
著者情報
ジャーナル フリー

2024 年 9 巻 1 号 p. 43-51

詳細
抄録
注意欠如多動症(Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder:ADHD)は幼少期から特性が発現し、多くの場合成人期まで特性が残り、何らかの生きづらさを抱えることとなる。その一方で、成人期になるまで診断がされずに思春期青年期を診断なしに過ごすことになる者も多い。同時にADHDは併存症も多く、不安障害やうつと並んで頻度が高いのが双極性障害(Bipolar Disorder:BD)である。早期の治療開始は、後年のADHDの併存症発症を減じたり、就業率を上げるなど大きなメリットがあり、診断が遅れがちな現状には大きな課題が残っているといえる。また、臨床医としては、併存症治療の方針に加え、ADHD特性に対する治療の開始時期や治療薬の選択に関して悩むこととなる。本稿では症例紹介を挟みつつ、思春期青年期固有の問題、特に異性関係についてADHD特性も絡んでの諸問題を論じるとともに、BD併存時の薬物選択、特に中枢刺激薬の利用について、関連する研究成果を紹介しながら検討したい。
著者関連情報
© 2024 日本精神保健・予防学会
前の記事 次の記事
feedback
Top