Japanese Journal of Endourology
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特集1:次世代につなげる画像誘導治療
小径腎癌に対するMR透視ガイド下経皮的凍結治療
波多野 孝史
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2013 年 26 巻 2 号 p. 163-169

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抄録
  腫瘍径4cm以下の小径腎癌に対する治療としては,腎部分切除術が推奨されている.しかし多種多様な合併症等により手術が困難な症例も少なからず存在する.このような症例に対しより低侵襲の治療法として,凍結治療やラジオ波焼灼治療などのenergy ablative therapyが行われている.
  【MRI透視ガイド下凍結治療】経皮的アプローチで凍結治療を行う際,穿刺におけるガイドとしての画像診断装置には病変の描出能,穿刺針の視認性,透視画像のリアルタイム性や簡便性などが求められる.MRIを画像ガイドとして用いる場合,従来のX線透視下のインターベンションにはない以下のような特徴がある.①放射線被曝がない,②多方向から任意の断層画像を得ることが可能である,③組織分解能に優れる,④温度感受性画像が描出可能である.特に凍結治療においてはMRI上凍結領域が低信号領域として描出され,周囲の非凍結領域との境界が明瞭であるため,術中のモニタリングとしてMRIの有用性は極めて高いと考える.
  一方,透視画像のリアルタイム性や簡便性に関して,MRIは超音波やCT透視に比べて劣ることは否めない.しかしMRIの持つ高い組織コントラストは病変の描出に優れ,任意の方向から断層図が得られるため,あらゆる方向からの病変のアプローチが可能となる.またMR透視では多断層同時透視や多方向同時透視が可能であり,穿刺針と病変の立体的な位置関係を把握しながら穿刺針を進めることができる.
  【今後の展望】現在国内において画像ガイド下経皮的凍結治療は肺癌,乳癌,肝癌,骨腫瘍等に対して施行されている.本治療法は低侵襲であり,今後幅広い領域で応用されるものと考える.
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© 2013 日本泌尿器内視鏡学会
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