2013 年 26 巻 2 号 p. 171-175
前立腺癌に対する密封小線源療法は,優れたQOL保持やPSA非再発率などの長期治療成績が本邦でも確立されつつあり,その「治療効率」の優位性からも本邦の窮迫した医療現場に合致した治療と言える.このような密封小線源療法後のフォローアップにおいて,PSA再発の定義や,PSA bounce等に代表される特徴的な症候については,日常診療において泌尿器科医や放射線腫瘍医が必ず理解しておくべき事項であると思われる.特にPSA bounceについては,密封小線源療法を施行した症例全体の30-50%に認められる一般的な症候であり,若い症例に多く認められる傾向や,PSA bounceを呈した症例は良好な予後が期待される報告が近年続いている.このPSA bounceに対する臨床現場での対応として,診察している主治医の不安がそのまま患者に伝わりかねないものであり,V100,D90等に代表される治療後のDVHを再確認し,画像での再発・転移が否定され,implant qualityが十分で治療後3年以内のPSA bounceであるならば,患者に説明してまずは腰を構えて経過観察をすることも時として重要である.