抄録
当院では2011年4月に軟性腎盂尿管鏡,Holmium:YAG laserによる経尿道的尿管砕石術(TUL)を導入した.尿路結石治療にTULは有効だが,術後急性腎盂腎炎を発症し,時に重症化することがある.今回,2011年4月から2012年10月に当院でTULを施行した全104例の治療成績,及び術後急性腎盂腎炎発症後,全身性炎症性反応症候群(SIRS)に至った症例に対する臨床的検討を行った.
6例(5.8%)が術後急性腎盂腎炎からSIRSとなり,うち1例は敗血症性ショックに至り,最終的に腎摘を施行し救命した.術後急性腎盂腎炎発症の危険因子を検討したところ,珊瑚状結石であることが統計学的に有意であった.また,手術時間が2時間を超えた場合,危険因子となる傾向を認めた.
TUL導入後,全体として安全かつ有効な治療が達成できていた.術前の十分なリスク検討,安全かつ正確な手術手技の習熟が重要である.