抄録
我々は,TUEBを施行した209症例(同時に施行された膀胱砕石術18例および前立腺生検14例を除く)を対象に,術後有熱性尿路性器感染症の発生頻度についての検討を行った.
使用抗菌薬は第1世代セフェム系が最も多く105例(50.2%),次いで第2世代セフェム系82例(39.2%)であった.
抗菌薬投与期間は単回が最も多く79例(37.8%),次いで2日58例(27.8%)であった.
術後有熱性尿路性器感染症の発生頻度は6例(2.9%)であり, 急性前立腺炎4例(1.9%), 急性精巣上体炎2例(1.0%)であった.
感染症発生の危険因子は術前残尿量(P=0.04)であった.
術前膿尿の有無に関わらず,単回投与と複数回投与において術後感染発生に有意な差を認めなかった(P=1.00,1.00).
しかし,経尿道的前立腺核出術における至適投与期間に関しては,前向きなランダム化試験が必要であろう.