2016 年 29 巻 2 号 p. 209-213
当院における腹腔鏡下腎盂形成術の治療成績を報告する.2006年6月から2015年10月までに,腎盂尿管移行部閉塞症(UPJO)の診断で腹腔鏡下腎盂形成術を施行した68例,68尿管.手術は全例,経腹膜的アプローチで行い,開腹移行例はなかった.手術時間は中央値150分(95-280分),出血量は中央値10ml(5-150ml)であった.術中合併症を2例(2.9%),術後合併症を2例(2.9%)に認めた.1例(1.4%)は術後54か月で再発し,腹腔鏡下に再手術を施行した.術後6か月の時点で,自覚症状のあった39例は全例で自覚症状が消失または改善し,水腎症は81%で改善した.特に術前水腎症grade3以上の症例(58例)では54例(93%)で改善したが,grade2以下の症例(10例)では1例(10%)のみの改善であった.UPJOに対する腹腔鏡下腎盂形成術は標準術式として十分認められる手術成績であった.