Japanese Journal of Endourology
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特集3:連載“長期成績”─XVI.腎がん─
無阻血腎部分切除の長期成績
藤田 哲夫西 盛宏岩村 正嗣
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2017 年 30 巻 2 号 p. 178-181

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抄録

 マイクロ波組織凝固装置を用いた無阻血での腹腔鏡下腎部分切除術の長期成績について検討した.

 2001年5月から2007年5月の間に, 4cm以下の臨床病期T1a腎細胞癌の診断のもと, マイクロ波組織凝固装置を用いた無阻血での腹腔鏡下腎部分切除術を施行した16例を対象とした. 10例が経腹膜到達法, 6例が後腹膜到達法で施行された. 1例で止血困難なため, 用手補助腹腔鏡下手術へと移行した. また, 腎杯縫合を要した1例で, 尿瘻遷延による感染症の併発により腎摘除術を余儀なくされた. 平均84.9か月 (12~180か月) の術後観察期間内に再発や転移を認めた症例はいなかった.

 マイクロ波組織凝固装置を用いた無阻血での腹腔鏡下腎部分切除術において, 優れた止血能が確認され, 腎実質を縫合閉鎖せずに施行可能であった. また, 従来の腎部分切除術と比較して, 遜色のない長期制癌効果が確認された. 一方で, 腎実質の予想以上に広範囲な熱損傷による術後の腎機能低下や, 重篤な合併症の発生が認められ, その適応をより厳格に選択すべきであると考えられた.

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© 2017 日本泌尿器内視鏡学会
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