2018 年 31 巻 1 号 p. 144-147
尿路変向術後の破綻に対するサルベージ尿路再建術はまれであり, 治療に難渋する. 症例は74歳男性. 前医で筋層浸潤膀胱癌に対して, 術前化学療法後, 膀胱全摘術, 回腸による新膀胱造設術施行. 両側尿管新膀胱吻合部狭窄となり, 両側腎瘻状態となった. 順行性に内視鏡的吻合部拡張術が試みられたが不成功となり, 紹介となった. 患者はステージ4の慢性腎臓病があり, また治療経過から骨盤部の強固な癒着があると想定されたため, 後腹膜アプローチによる腹腔鏡下両側尿管剥離術後に結腸導管造設術を行った. 術後腎機能の悪化を認めず, カテーテルフリーで経過観察中である. 骨盤部に強い癒着が想定される場合の二次的な尿路変向において, 後腹膜アプローチによる腹腔鏡下両側尿管剥離術を併用した結腸導管造設術は有効な術式と考えられる.