Japanese Journal of Endourology
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特集1:前立腺全摘 手術教育 若手医師にいかに伝えるか
熟練術者のTrifectaを可及的に損なわないための教育システムの構築
─開放手術, ミニマム創手術を次世代に伝えることは可能なのか?─
長井 辰哉
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2018 年 31 巻 1 号 p. 27-31

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抄録

 前立腺癌の外科的治療はすでにロボット支援手術が主流となり, 従来の開放手術の機会は極めて限られたものになってきている. このため, 癌制御と機能温存を安全に達成するという前立腺癌の開放手術の技術を次世代に伝えていくことが果たして可能なのか, 危惧される状況が生じている. 我々は以前からミニマム創内視鏡下前立腺全摘術の経験の中で, 同手術が開放手術の教育と言う点で極めて優れていると言うことに注目してきた. 泌尿器科領域の手術教育の殆どは手術の実践の過程でOn The Job Training (OJT) としておこなわれる. OJTを効率的に行い, 成功を得るためには, 認知的徒弟制と呼ばれる科学的な教育方法に関する理解が必要である. 認知的徒弟制は技術教育をいくつかのステップに分け順次行っていく方法であるが, その最初かつ重要なステップであるModelingと呼ばれる観察の段階が内視鏡導入により劇的に改善したことがミニマム創手術と従来の開放手術との大きな違いである. 本稿では科学的な手術教育の方法につき論述するとともに我々の行ってきたミニマム創内視鏡下前立腺全摘における手術教育につき報告, さらに, 症例の減少に対応するために我々が検討してきたTrifectaの達成+教育の容易さを目標とした前立腺全摘術についても簡単に報告する.

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© 2018 日本泌尿器内視鏡学会
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