Japanese Journal of Endourology
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前立腺
前立腺癌に対するロボット支援前立腺全摘術と開腹前立腺全摘術における切除断端陽性に関する比較検討
平田 侑林 純平中村 友哉森山 由貴子濱口 益光吉川 正博坂本 直孝
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2019 年 32 巻 1 号 p. 88-92

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抄録

 前立腺癌に対するロボット支援前立腺全摘術 (RARP) と開腹前立腺全摘術 (ORP) における切除断端陽性に関して比較検討を行った. cT2以下かつ診断時PSA≦20ng/mlの前立腺癌症例に対して2013年12月から2017年8月までの期間にRARPを施行した178例 (RARP群), 2011年1月~2012年12月までの期間にORPを施行した132例 (ORP群) を対象とした. 術前補助化学療法施行症例は除外した. 切除断端陽性率はRARP群で16.9%, ORP群で28.8%とRALP群で有意に低い結果であった (p=0.012). 病期別での切除断端陽性率はpT2症例においてRARP群10.9%, ORP群23.4%とRARP群で有意に低く (p=0.011), pT3症例においてはRARP群32.6%, ORP群42.1%であり両群に有意差は認めなかった. 部位別での切除断端陽性率では前立腺尖部でRARP群6.7%, ORP群18.9%とRARP群で有意に低い結果 (p=0.013) であった. その他の部位 (側方, 腹側, 背側, 基部) では両群に有意差は認めなかった. 前立腺尖部での詳細な切除断端陽性部位を腹側, 直腸側, 側方に分けて検討したところ, 直腸側でRARP群1.1%, ORP群10.4%とRARP群で有意に低い結果であった (p=0.0014). RARPにおける出血の少ない良好な拡大視野での尖部処理が同部位での切除断端陽性率の低下に寄与している可能性が示唆された.

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© 2019 日本泌尿器内視鏡学会
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