2019 年 32 巻 2 号 p. 168-171
尿管鏡とホルミウムヤグレーザーの進歩によって, TULとESWLの件数の逆転現象が起きた. 一方, PNLの件数は横ばいであることから, 尿管鏡では治療困難な腎結石が一定数存在することがわかる. 長径2-3 cmの腎結石に対する尿管鏡のこれまでの治療成績は, 「1st SFR 60%, 2nd SFR 90%, 平均手術回数1.6回」で頭打ちになった感がある. 従来, f-TULとPNLの境界線として「長径2 cm」が不動の基準である. しかし, 画像診断の進歩に伴って, より正確な「結石体積stone volume」を新たな指標にすべきとする意見も出始めている. さらに, 軟性尿管鏡の故障とその修理費用の問題は世界的な関心事であり, ディスポーザブル型の軟性尿管鏡の導入が始まっている. 費用対効果の評価はまだ不十分であるが, 従来リユース型の尿管鏡を壊してしまいがちな困難な腎結石に対して, ディスポーザブル型の尿管鏡を使用するという選択肢ができた. しばらく頭打ちになっていた腎結石に対する尿管鏡の治療成績を向上できるかどうかは, さらなる検討を要する.