2019 年 32 巻 2 号 p. 172-177
サンゴ状結石は, 標準化された結石スコアリングシステムにおいて難易度の高い結石に位置づけられ, 結石が尿路を埋め尽くしているため, 尿路のスペースがかなり限られていることが多い. しかも感染を合併していることも多いため, サンゴ状結石に対する標準的治療であるPNLにおいて, 代表的な困難な腎結石である. サンゴ状結石に対するPNLではガイドワイヤー挿入に難渋することがあり, ガイドワイヤーの性質を利用して状況により適宜ガイドワイヤーの種類を変更する. トラクト作成時にはワーキングガイドワイヤーの管理が大切であるが, ワーキングガイドワイヤーが抜けてトラクトの先端が尿路外となった場合には硬性尿管鏡を利用してトラクトを作成し直す方法がある. PNLの術中操作において腎盂内圧の上昇を防ぐことと極力出血を回避することが肝要である. しかし, サンゴ状結石の場合, 結石と粘膜が癒着していることが少なくないので, 可能であれば結石中央部から砕石し, 内視鏡操作のスペースを確保してから辺縁部の砕石を出血に注意しながら行う. コントロール不良な糖尿病の合併などリスクの高いサンゴ状結石では難儀な経過を辿ることがあるので, 周術期合併症の可能性を念頭に入れて術前計画から慎重に検討するべきである.