2019 年 32 巻 2 号 p. 230-235
ロボット支援根治的前立腺全摘除術において, 内骨盤筋膜温存 (pEPF) とintrafascialもしくはinterfascial dissectionの神経温存 (INS) を術者が意図した103例を後方視的に検討, 手術動画とprostatic baseのS-100免疫染色でpEPFとINS達成を判定した. 両側pEPFかつ両側INSが49例 (HG群), 両側pEPFと片側のみINS (反対側は結果的に神経非温存) が37例 (MG群), 片側pEPFと同片側INS (反対側はEPF, 神経とも非温存) が17例 (LG群) で, パッドフリーを尿禁制と定義したときの術後1ヶ月/3ヶ月の尿禁制率は, HG群46.9/62.5%, MG 群29.7/43.2%, LG群0/29.4%で, LG群の尿禁制率が有意に低かった. MG群はHG群に比して術後1, 3ヶ月とも尿禁制率が低かったが有意差は認めなかった. 単変量解析でp<0.1の因子を多変量解析すると, 術後1ヶ月においてLG群のみが有意に尿禁制率が低い因子であった. 両側pEPFしつつ両側INSを意図する術式の術後早期尿禁制に対する有用性が示唆された.