2019 年 32 巻 2 号 p. 236-240
ロボット支援前立腺全摘除術 (RARP) における術後尿失禁を予測する因子としてサルコペニア関連因子と解剖学的因子の検討を行った. 2015年6月から2017年5月までにRARPを施行した65例を対象とした. 術前にQOL評価, 尿禁制の程度, 握力と起立歩行速度 (TUG) を測定し, 術前MRIにて膜様部尿道長 (MUL) を測定した. 単変量解析では術後3カ月のsafety padの有無とMULは有意な相関を認めた (p=0.0264). また, 年齢, 握力, TUG, 神経温存の有無, MULで多変量解析を行うとMUL ≧ 13 mmが唯一の有意な術後失禁予測因子であった (p=0.0313). サルコペニア評価は今後検討の余地があるが, RARP術前のMUL評価は術後早期の尿失禁を予測するうえで治療選択, 術式決定に有用と思われた.