Japanese Journal of Endourology
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特集2:RAPN困難症例への注意点
序文
江藤 正俊近藤 恒徳
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2021 年 34 巻 2 号 p. 196

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抄録

 ロボット支援腹腔鏡下腎部分切除術 (RAPN) は2016年に保険収載されて以降, 多くの施設で施行されるようになった. 経験症例数の増加に伴い, これまでは開腹腎部分切除あるいは腹腔鏡下腎摘除を選択していた, いわゆる困難症例に対しても, RAPNの適応が拡大されようになっている. しかし一般的に腎部分切除は尿漏や仮性動脈瘤などの特有の合併症も含め, 合併症率が高い事も指摘されている. したがっていかに合併症を防ぐのかを知っておくことはたいへん重要である. また癌手術であるため確実な切除が必要である一方, 腎機能も可能なかぎり温存することが求められる. いわゆるtrifectaを意識しながら手術を行う事が必要となってくる. こうした術前準備や手術時の技術的なtipsについては論文から知ることは難しく, 学会のシンポジウムなどでエキスパートの発表を聞き実際の生の意見を吸収することが最も実践的な方法である.

 2020年の日本泌尿器内視鏡学会では, 本邦を代表するエキスパートに腎部分切除困難症例に対するRAPNにおける注意点を解説していただくシンポジウムが企画された. 明確な基準はないが, 一般的には4 cmを越えるT1b腫瘍, 埋没型腫瘍, 腎門部腫瘍があげられる. こうした要素を総合的に取り入れたRENAL nephrometryやPADUA systemなども現在かなり受け入れられている. それぞれのポイントについて各先生方に解説をしていただいた. まずT1b腫瘍に対する注意点を槙山和秀先生に, 完全埋没型腫瘍については高木敏男先生に, 腎門部腫瘍については日向信之先生に, RENAL high complexityについては川喜田睦司先生に御願いした. 本総説では各先生には手術を行う上で注意している技術的なポイントについて具体的に解説をいただいた. 図や写真を用いて説明をいただいており, たいへん実践的な手術手技解説書になっており, 先生方の今後のRAPNの適応拡大において有用であることはわれわれが保証する. 是非とも何回も読み直し, 安全かつ確実な技術習得につなげていただければ幸いである.

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© 2021 日本泌尿器内視鏡学会
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