2021 年 34 巻 2 号 p. 287-294
目的 : 後腹膜アプローチによるロボット支援前立腺全摘術 (RARP) の臨床的転帰を後方視的に検討した.
対象と方法 : 2015年7月から2019年3月までにRARPを後腹膜アプローチで施行した前立腺癌患者127例 (RP群) と, 2011年9月から2019年3月までに経腹膜アプローチで施行した1,156例 (TP群) を対象とし, 周術期成績, 腫瘍学的転帰および尿禁制率を検討した.
結果 : TP群に対してRP群では, 有意にコンソール時間中央値が短く (167分 vs 172分, p=0.015), 出血量中央値が多かった (150 mL vs 50 mL, p<0.0001). RP群とTP群それぞれの切除断端陽性率は22.8%と22.9%, 術後3年RFSは83.1%と82.2%, 術後3年の尿禁制率は90%と92%であり, 両群間で有意差を認めなかった.
結論 : 後腹膜アプローチを用いたRARPは安全かつ有効に行われ, 中期的には制癌性, 尿禁制に関しては経腹膜アプローチと同等であった.