2021 年 34 巻 2 号 p. 300-306
【目的】当院でロボット支援腎部分切除術 (RAPN) を施行したcT1a症例とcT1b症例の手術成績を比較検討した. 【対象と方法】2016年3月から2019年6月までに当院でRAPN施行した210例 (T1a : 177例, T1b : 33例) を対象として後方視的に検討した. 【結果】両群間で年齢, 性別, 患側, BMI, 術前eGFRに有意差はみられなかったが, cT1b群でRENAL nephrometry scoreは有意に高かった. cT1b群で手術時間, 気腹時間, コンソール時間, 阻血時間は有意に長く, 出血量もcT1b群の方が有意に多かった. 両群間で輸血施行数, 合併症発生率, 切除断端陽性率に有意差はみられなかった. また, 両群間で術前後での腎機能変化率に有意差はみられなかった. 【結語】当院でのcT1b腎腫瘍に対するRAPNはcT1aに比べ手術時間, 阻血時間, 出血量が増えるが, 合併症, 切除断端, 術後腎機能は同等で, 安全に施行可能であった.