【目的】救急活動は複数課題の同時遂行が求められ,二重課題(dual-task)による干渉が懸念される。本研究では,dual-taskが活動の質および時間効率に及ぼす影響を検証した。【方法】山梨県富士五湖消防本部の救急救命士34名と通信指令員10名に対し,交通事故対応シミュレーションをdual-task負荷なし群と負荷あり群で実施し,評価点数,活動時間,動作停止回数を比較した。【結果】救急救命士では評価点数への影響は限定的であったが,現場到着から救急車収容まで53.1秒の延長(Hedges’g=1.75,p<0.001)および動作停止回数の増加が顕著であった。通信指令員でも同様の傾向を認めた。また,経験年数が短い者ほど影響が大きかった。【結論】dual-taskは救急活動の正確性より時間効率に強く影響することが示唆され,経験や訓練による対応能力向上の可能性が示された。