日本臨床救急医学会雑誌
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症例・事例報告
ステロイド療法が奏効した好酸球性胃腸炎の1例
箱田 滋萩原 里香石床 学新谷 裕木内 俊―郎
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2007 年 10 巻 5 号 p. 517-522

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抄録

好酸球性胃腸炎は末梢血好酸球増多に消化管への好酸球浸潤を伴い,全消化管に病変を認める比較的まれな疾患である。今回,われわれは末梢血好酸球数の漸増で好酸球性腸炎を疑い,消化管内視鏡検査による生検にて確定診断した1例を経験した。症例は61歳,女性。腹痛・下痢で発症し,当初は感染性胃腸炎の疑いで絶食および抗生剤投与で治療を開始したが,入院第1病日から末梢血好酸球数1482/μlと高値を示し,第12病日には8021/μlまで漸増した。上部・下部内視鏡検査による生検で好酸球性胃腸炎と診断し,第12病日からステロイド投与を開始した。第14病日には好酸球数221/μlまで減少し,第20病日に退院となった。好酸球増多を伴う腹痛の症例においては好酸球性胃腸炎を疑い,上部・下部消化管検査を施行し,早期にステロイドを投与することが有効であると思われた。

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© 2007 日本臨床救急医学会
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