2008 年 11 巻 1 号 p. 30-33
症例は78歳女性。正常圧水頭症に対し脳室−腹腔内シャント術を行った。その際,実習に対しての承諾が得られ,救急救命士が気管挿管を行った。視診・聴診ではチューブが気管内にあることが確認されたが,Esophageal Detector Device(以下EDD)による確認を行ったところバルブの拡張を認めなかった。しかし,EDD以外の方法では正しく気管挿管されていることが確認され,換気状態も良好であった。手術終了時に気管支鏡検査を行ったところ,呼気時に気管の三日月型の変形・狭窄が認められ,気管軟化症と判明した。EDDはおもに救急現場での気管挿管後のチューブの位置確認に使われており,とくに非心肺停止例ではその感度・特異度ともに高い。しかし,その正確さは100%ではなく,気管挿管の確認には聴診などを含め複数の方法を用い総合的に判断することが望ましいと考えられた。