2008 年 11 巻 3 号 p. 271-277
背景:心停止患者の救命率向上のためには一般市民の救命意識・AEDに対する認知を高め,蘇生処置への積極的な参加を促す必要があるが,市民の救命意識に関する検討はなされていない。目的:心肺蘇生講習会の受講による救命意識の変化を検討する。対象:心肺蘇生講習会に参加した大学生。方法:3時間の心肺蘇生講習会を実施し,講習会の前後に,心肺蘇生法,AED使用など救命意識に関する質問紙調査を行った。結果:今回の講習会には大学生307名が参加し,203名から有効回答が得られた。203名のうち,見知らぬ人が倒れていたら自ら心肺蘇生を試みようと思う受講者は講習会前後で4%から52%に増加した。蘇生現場でAEDがあれば使用してみようと思う受講者は8%から80%にまで増加した。一方で受講後も倫理的な問題で蘇生処置を躊躇する受講者が少数いた。結論:講習会を受講することで,受講者の救命意識の向上が見られたが,倫理面での不安が蘇生処置参加への障害となっていた。