日本臨床救急医学会雑誌
Online ISSN : 2187-9001
Print ISSN : 1345-0581
ISSN-L : 1345-0581
調査・報告
救急搬送時間の短縮のための在宅療養者の「情報シート」
山内 亮子和田 貴子深澤 政富馬場 道夫
著者情報
ジャーナル フリー

2009 年 12 巻 5 号 p. 465-472

詳細
抄録

在宅療養者が救急車要請時に患者情報を用紙で提示することで搬送時間が短縮すると考え,文献を参考に「情報提供用紙」を作成した。緊急時の救急隊と医療機関の連携に関する文献は19件で,提示された事例は19例,うち16例が在宅人工呼吸器導入例(15例/16例が小児)であった。救急隊への情報提供方法は統一されたものはなく,2つの市では独自に事前登録制度を設け,台帳登録することで搬送時間が短縮していた。事前登録制度は搬送時間が短縮するものの,消防で導入するにはさまざまな検討課題が残されている。今回作成した情報提供用紙は人工呼吸療法導入の小児例などを考慮し,氏名,年齢,既往歴など必要事項のほか,患者アセスメントを容易に記載できるようにした。この用紙を退院時に患者・家族に渡すことで救急搬送時に救急隊員が患者を把握しやすく,患者側は用紙が手元にあることで退院後の安心につながると考えた。

著者関連情報
© 2009 日本臨床救急医学会
次の記事
feedback
Top