北九州地域の病院外心停止例をウツタイン様式に基づいて検討した。2005年4月から1年間の心停止症例は807例で,心原性373例,非心原性434例であった。院外・心原性心停止患者に限定すると,バイスタンダー目撃ありは132例,救急隊目撃は24例であった。バイスタンダー目撃ありの自己心拍再開は45.5%(60/132例),生存入院は32.5%(43/132例),24時間生存は26.5%(35/132例),生存退院は6.8%(9/132例)で,社会復帰についてはcerebral performance category(以下CPC)1は5.3%(7/132例)であった。全807例中の社会復帰例(CPC1)13例,心原性は10例,非心原性は3例で,低体温症例を除き12例全例が病院前に心拍再開していた。救急隊が現場接触し,最初にモニター装着した時点での心電図所見(以下初期心電図波形)について,ventricular fibrillation(以下VF)5例の他にもpulseless electrical activity(以下PEA)にも4例社会復帰を認めた。救急隊目撃例を除く全院外心停止症例におけるバイスタンダーcardiopulmonary resuscitation(以下CPR)率は42.5%(332/758例)と比較的高かったが,バイスタンダー目撃ありの心原性心停止症例における社会復帰(CPC1)は5.3%と低く,地域の高齢化を考慮しても満足できるものとはいえなかった。今後,さらなるデータの蓄積と解析を行い,対策を講じていく必要があると思われた。
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