日本臨床救急医学会雑誌
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調査・報告
口頭指導実施例の増加に向けた取り組みと成果
池田 正樹兼古 稔石川 佳信
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2009 年 12 巻 5 号 p. 478-484

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抄録

当消防署における平成16~17年のCPA症例の検証を行ったところ,バイスタンダーCPR実施率約23%,口頭指導実施率約9%と低かった。口頭指導非実施の原因を調査した結果,通信員交替,通信員の口頭指導に対する意識不足,通報者の傷病者容態判断不確実が全体の約60%を占めていた。これを受けて口頭指導実施例の増加に向けた対策を行った。通信員交替を原則禁止する通信・救急出動体制の見直し,通信員に対する教育訓練の実施,住民の傷病者容態判断の負担軽減を目的とした通報受信要領の検討, 口頭指導についての広報を行ったところ,平成18年以降,口頭指導実施率33%,CPR実施率67%とよい成果が得られた。通信要領,口頭指導状況を検証し,当消防署が取り組んだ改善策により,口頭指導実施率の増加,バイスタンダーCPR実施率の増加につながったと考えられる。

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© 2009 日本臨床救急医学会
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