日本臨床救急医学会雑誌
Online ISSN : 2187-9001
Print ISSN : 1345-0581
ISSN-L : 1345-0581
原著
救急車搬送されたが,帰宅となった患者群における救急車の適正利用の状況と今後の検討課題について
矢野 賢一早川 達也
著者情報
ジャーナル フリー

2011 年 14 巻 4 号 p. 495-501

詳細
抄録

目的:救急車搬送されるも帰宅となった患者群で,救急車の適正利用の状況を検討する。方法:対象は3年間で当院へ救急車搬送されたが,帰宅となった患者。搬入時に記載されたデータベースを使用し,主訴,年齢,検査,身体状況,最終診断より,適正利用かどうかを判断した。適正利用の判断基準は以下の4点で,(1)主訴が呼吸・循環・意識・神経症状に関与,(2)自力や周囲の支援でも来院に困難を伴う,(3)転落・交通外傷,(4)切断,中毒や火災など特殊状況, とした。一方,非適正利用の判断基準は,(1)呼吸・循環・意識・神経症状に関与しない,(2)救急車以外で安全な来院が可能,(3)迅速な処置を必要としない,とした。結果:救急搬送されたが帰宅となったのは7,880名で,適正利用群がその約6割を占め,非適正利用とされたのは5%程度であった。結論:救急車搬送後帰宅となった患者の大部分は救急車を適正に利用していた。

著者関連情報
© 2011 日本臨床救急医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top