日本臨床救急医学会雑誌
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症例報告
ドクサバフグ中毒の1例
貴島 孝川手 浩史吉原 秀明
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キーワード: フグ中毒, ドクサバフグ
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2011 年 14 巻 6 号 p. 662-665

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抄録

症例は77歳女性。フグ調理師免許のない患者が,譲渡されたフグをシロサバフグと誤認し,肉と肝臓を摂取した。摂取2時間後に口唇粘膜面のしびれ,3時間後に呼吸困難,眩暈,両上肢のしびれが出現し,摂取5時間後当院救急センターヘ搬送された。来院後胃洗浄施行し,活性炭投与後同日緊急入院となった。入院翌日,摂取したのはドクサバフグであることが判明した。四肢末梢のしびれ,呼吸困難は1日目に消失し,嘔気,食欲不振は数日間持続,眩暈,運動障害は5日前後持続した。症状軽快したため入院8日目に退院となった。今回の症例の背景には,フグ調理師免許をもたない者がフグを調理し,民間で食べている風習がある。全身有毒のドクサバフグは,全身無毒のシロサバフグと判別がきわめて難しく,また本来日本近海に生息しないフグである。今回経験したドクサバフグ中毒は,温暖化に伴い今後増加することが予想される。ドクサバフグ中毒の現状につき統計を含め報告する。

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© 2011 日本臨床救急医学会
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