2011 年 14 巻 6 号 p. 656-661
症例は67歳の男性で,特記すべき基礎疾患はなし。突然の意識障害,高熱で当院外来に緊急搬送された。不穏状態,失語様の高次脳機能障害,極軽度の右上下肢不全片麻痺,項部硬直を認めたが,頭部単純MRIでは頭蓋内に異常はなかった。脳脊髄液検査より細菌性髄膜炎と診断し,のちに各種寒天培地にてListeria monocytogenesを認め,リステリア(L. monocytogenes)髄膜炎と確定診断した。抗菌薬治療にて後遺症なく退院した。免疫不全状態や慢性消耗性疾患などの基礎疾患をもたない比較的若い高齢者に,リステリア髄膜炎の発症頻度は少ない。今後,高齢化が急速に進行している本邦で,脳症を伴う有熱性中枢神経疾患の診察時には,確定診断が困難であるリステリア髄膜炎も積極的に鑑別することが必要と考える。