日本臨床救急医学会雑誌
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調査・報告
疲労度からみた胸骨圧迫の至適テンポ
ー主観的運動強度を用いた無作為クロスオーバー研究―
安田 康晴
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2013 年 16 巻 2 号 p. 84-87

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抄録

心肺蘇生ガイドライン2010では,胸骨圧迫テンポは1分間に少なくとも100回で行うことが推奨された。しかし,その至適テンポについては明らかではないことから疲労度(主観的運動強度)を用い検討した。救急救命士養成課程大学生15名を対象に,床で毎分100回,110回,120回のテンポでそれぞれ2分間胸骨圧迫を行い,胸骨圧迫の質と疲労度を測定した。胸骨圧迫成功率,胸骨圧迫深度には有意差は認められなかった。疲労度は100回と110回間には有意差は認められなかったが,100回と120回,110回と120回間に有意差が認められ,120 回が最も高かった(p<0.05)。胸骨圧迫の質を維持したままテンポを上げると疲労度が増し,胸骨圧迫の質低下につながる。2分間の胸骨圧迫では1分間に120回のテンポでも胸骨圧迫の質を維持することができたが,救急現場では搬送などの要因も加わり疲労は増すことから,救急隊員それぞれが胸骨圧迫の質を維持できる至適テンポを把握することが必要である。

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© 2013 日本臨床救急医学会
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