救急隊員の仕事のストレスを把握する目的で,X 市消防局職員1,246 人に対して勤務状況調査票と職業性ストレス簡易調査票を用いて悉皆調査を行い,このうち救急隊員を消防・救助隊員と比較した。救急隊員215 人は消防隊員418 人と救助隊員163 人に比べ,出場時間と出場関係の業務時間が有意に長く,休憩時間と仮眠時間は有意に短かった。救急隊員の不良なストレス要因は,消防隊員と比較して心理的な仕事の負担(質)および仕事の裁量度,救助隊員と比較して心理的な仕事の負担(量)および仕事の適性度を認め,ストレス反応は救助隊員と比較して不良であった。一方,男性標準集団との比較では,救急隊員のストレス反応は良好であり,ストレス要因の少なさと良好な社会的支援の影響が示唆された。救急患者の適切な搬送はきわめて困難な業務であるため,ストレス要因対策だけでなく上司,同僚,家族や友人からの社会的支援が重要であることが示唆された。