日本臨床救急医学会雑誌
Online ISSN : 2187-9001
Print ISSN : 1345-0581
ISSN-L : 1345-0581
症例報告
インプラント関連骨髄炎にダプトマイシンが有効であった1症例
小林 巌木村 慶信大曾根 順平望月 宏樹住田 臣造
著者情報
ジャーナル フリー

2013 年 16 巻 4 号 p. 613-617

詳細
抄録
症例は79 歳女性。転倒による大腿骨転子部骨折に対して,入院当日にインプラントを用いた骨接合術を施行。第11 病日より発熱と創部腫脹がみられ,第17 病日にメチシリン耐性黄色ブドウ球菌による骨髄炎と判明したが,インプラント抜去を行わずに治療を行う方針となりICU 入室となった。バンコマイシンに対する感受性低下(最小発育阻止濃度2μg/ml)と腎機能障害を認めたため,ダプトマイシン(6mg/kg/ 日)とリファンピシン(600mg/ 日)による治療を行った。第79 病日でダプトマイシンとリファンピシンの治療を終了後,約2 週間のリネゾリド(1,200mg/ 日)内服を継続した。長期に及ぶダプトマイシンの投与であったが,横紋筋融解症などの重篤な副作用を発症することなく安全に治療を終えた。今後,本邦でもダプトマイシン長期投与の有効性と安全性に関するデータの蓄積が必要と思われる。
著者関連情報
© 2013 日本臨床救急医学会
前の記事
feedback
Top