日本臨床救急医学会雑誌
Online ISSN : 2187-9001
Print ISSN : 1345-0581
ISSN-L : 1345-0581
症例報告
低用量のアシクロビル投与によって急性腎不全となった高齢者の1例
森本 健幹前田 晃祐神原 永長大里 恭章岩井 敦志
著者情報
ジャーナル フリー

2014 年 17 巻 3 号 p. 468-472

詳細
抄録

高齢者は加齢と共に腎機能低下が起こるため,腎排泄型薬剤の投与に関しては投与量の調節が必要である。また容易に脱水傾向になり急性腎不全に陥りやすい。われわれは,メチルジゴキシン(以下,MDXと略す)を服用していた高齢者が,添付文書上の腎機能に応じた量よりも減量されたアシクロビル(以下,ACVと略す)を服用したにもかかわらず,腎機能障害を来した症例を経験したので報告する。症例は80代男性。近医にて帯状疱疹と診断されACVが開始となった。服用後7日目に意識障害が現れ,8日目に摂食不可となり当院に救急搬送となった。来院時現症および検査所見より薬剤性腎障害が疑われたため,第1病日にACV,MDXが中止となり,輸液にて経過観察となった。第2病日から徐々に意識が改善し,第7病日に軽快退院となった。薬剤ごとに吸収,代謝,排泄の動態が異なるため,それらを踏まえた服薬指導が重要であると考えられた。

著者関連情報
© 2014 日本臨床救急医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top