日本臨床救急医学会雑誌
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Print ISSN : 1345-0581
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原著
治療薬物モニタリングへの薬剤師の積極的介入とその効果
—バンコマイシン投与量決定プロトコル導入前後の比較—
大谷 美奈子小野 雄一郎伊藤 岳垣尾 尚美兵頭 純子松本 敏明高岡 諒当麻 美樹
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2014 年 17 巻 4 号 p. 497-503

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抄録

目的:バンコマイシン塩酸塩(VCM)の治療効果と副作用発現は血中濃度と相関しており,治療薬物モニタリング(TDM)が重要である。当院でも以前からTDMを実施していたが,抗菌薬適正使用を目的として,薬剤師が積極的に介入する投与プロトコルを作成し,今回その有用性を検討した。方法:プロトコル運用前にVCMを投与された45症例(非介入群)と運用後に投与された43 症例(介入群)の2 群間の比較検討を行った。結果:初回ローディング実施率は介入前後で50.0%から92.7%へと上昇,初回トラフ値が目標内であった割合は非介入群に比べ,介入群で有意に上昇していた。結論:介入群ではより適切なTDMが実施できており,プロトコルは有用であるといえる。適切な抗菌化学療法の実施は,医師のみならず,薬剤師の積極的な介入が必要であり,その結果,良好な臨床成績につながる可能性がある。

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© 2014 日本臨床救急医学会
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