抄録
精神科ソフト救急が抱える問題点を明らかにする目的で,福岡県におけるソフト救急患者の搬送時間帯別の受入れ先,来院時の精神症状と転帰,重症度との関連性,搬送・受入れの負担要因と負担改善策について検討した。身体合併症のないソフト救急1,269件において,精神科医療機関の受入れ率は平日時間帯の44.6%に比べ,時間外・休日の32.8%と低値であった。精神科救急情報システムを利用した受入れはわずか4.0%であった。ソフト救急患者の8割以上は外来対応で済む軽症者であった。救急病院の負担要因は,身体合併症のない患者搬送が多いこと,時間外・休日に精神症状に対応してくれる精神科医療機関がないことである。精神科医療機関は身体合併症のないソフト救急患者を積極的に受入れるべきである。精神科救急情報システムはソフト救急に対応していないため,精神科医が時間外に直接外来診療できる新たなシステムが必要である。