2014 年 17 巻 5 号 p. 656-662
はじめに:小児急性脳症において,頭蓋内圧(ICP)/脳灌流圧(CPP)と神経学的転帰の関連は明らかにされていない。目的:小児急性脳症の患者に対し,ICP/CPP値を指標とした脳保護療法を行い,神経学的転帰との関連を調査すること。方法:2007年1月〜2013年8月までの6年8カ月間に,当院ICUに急性脳症の診断で入院し,ICPモニタリングを行った16歳未満の患者32例を対象とし,後方視的に検討した。結果:神経学的転帰不良の症例は,転帰良好の症例に比べ,有意に経過中のICP最大値,ICP 20mmHg以上の時間,ICP 20mmHgを基準としたpressure time index(PTI)の高値を認めた。またCPPに関しては,転帰不良の症例は年齢基準値を基準としたPTIが有意に高値であった。結論:小児急性脳症においてICP値と神経学的転帰に関連性がみられた。またPTIという時間概念を用いた要素を検討することで,CPPに関しても神経学的転帰との関連が示された。ICP/CPP管理により神経学的転帰を改善できるかは,今後症例の集積が必要である。