日本臨床救急医学会雑誌
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原著
当院における過去10年間の一酸化炭素中毒患者の治療法の選択と予後
藤田 基古賀 靖卓中原 貴志戸谷 昌樹宮内 崇金子 唯金田 浩太郎河村 宜克小田 泰崇鶴田 良介
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2014 年 17 巻 5 号 p. 663-669

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抄録

過去10年間に当院で初期治療を行った急性一酸化炭素(以下CO)中毒患者69例を24時間以内に行った治療で気管挿管群(9例),酸素マスク群(20例),HBO群(40例)に分け,高気圧酸素(以下HBO)治療が間歇型の発症予防及び間歇型・遷延型の症状改善に有用かを後方視的に検討した。間歇型を気管挿管群1例,酸素マスク群1例,HBO群2例に,遷延型を気管挿管群2例,酸素マスク群1例,HBO群1例に認めたが,どちらも各群間で症例数に有意差は認めなかった。間歇型症例は全例発症後に複数回HBO治療が施行され,酸素マスク群の1例を除く3例で症状は改善した。遷延型症例はHBO群の1例のみ慢性期に繰り返しHBO治療が施行され,症状改善を認めた。当院のプロトコールによるHBO治療では間歇型の発症予防効果は明らかでなかった。発症した間歇型・遷延型の治療としてのHBO治療は有用である可能性が示唆された。

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© 2014 日本臨床救急医学会
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