抄録
症例:80歳代女性 現病歴:歩行中に乗用車と接触し当院に搬送された。来院後経過:右腰動脈の活動性出血に対して,輸血及び動脈塞栓術を施行し,入院となった。入院後,抗菌薬や抗DIC治療を行った。第4病日より呼吸不全を来たし,発熱や頻脈を認めるようになった。第6病日の胸部CTで両側肺野に小葉間隔壁肥厚を伴うスリガラス影を認めた。対症治療およびステロイド治療を行い,呼吸不全および両側肺野のスリガラス影は消失した。リパーゼ上昇,右網膜出血,血中脂肪滴等を認め,さらに他疾患を鑑別することで脂肪塞栓症候群疑いと診断した。考察:脂肪塞栓症候群の症状はいずれも非特異的なものばかりであり,診断が非常に困難である。外傷後の呼吸不全では積極的に疑うことと,他疾患の鑑別が重要である。一般的に治療は対症治療のみであるが,症状に応じてステロイド投与が効果的である可能性がある。