日本臨床救急医学会雑誌
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症例報告
ラピッドレスポンスカーから始まるトラウマバイパスにより救命し得た鈍的外傷性心破裂の一例
毛利 智好松浪 周平寺澤 貴美子瀧本 浩樹鵜飼 勲二宮 典久鴻野 公伸杉野 達也
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2015 年 18 巻 1 号 p. 68-71

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抄録
20歳代,男性。建築現場で資材とトラックの荷台の間に胸部を挟まれ受傷した。意識障害があったため,出動要請基準に則り当院ラピッドレスポンスカー出動となった。救急隊現着時には意識レベルJCSⅠ-2で呼吸・循環は安定していたが,その15分後にドッキングポイントで合流した際の超音波検査にて著明な心囊液貯留を認めた。急変時にはすぐに心囊穿刺ができる状態で当院に救急搬送したが,病院到着後に血圧低下を認めたため緊急心囊開窓術を施行した。これにより循環状態が安定したため心臓血管外科のある近隣総合病院手術室に転送した。そのまま一期的緊急修復術が施行され,後遺障害なく独歩軽快退院となった。現場での全身状態からは二次救急病院を選定されかねなかった鈍的外傷性心破裂患者に対して,ラピッドレスポンスカー出動により現場から手術室まで救急医がいつでも処置できる状況下でのトラウマバイパスにより救命し得た症例であったと考えられた。
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© 2015 日本臨床救急医学会
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