2015 年 18 巻 3 号 p. 542-545
胸部外傷による重度の低酸素血症に対し,venovenous extracorporeal membrane oxygenation(VV-ECMO),腹臥位療法を併用して救命することができた一症例を報告する。症例は20歳代男性,バイク事故にて受傷し,ドクターヘリで当院へ搬送された。来院時はショック状態であり,両側胸腔ドレナージを施行したところ大量の血液流出が認められた。その後も出血は持続し,急速輸液を行うもショックの離脱が得られず,初期治療室にて開胸し,右下葉切除術を施行後に救命救急センター入院となった。入室後もショック状態は遷延し,FIO2 1.0,PEEP 20cmH2Oにて呼吸管理を行ったが,著明な低酸素血症は改善せず,同日VV-ECMO導入となった。連日の腹臥位療法,気管支鏡による吸痰等により酸素化は徐々に改善し,第24 病日VV-ECMOを離脱,第114病日独歩で退院となった。