日本臨床救急医学会雑誌
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症例報告
受傷後3時間で発症したが迅速な集中治療で救命し得た電撃型脂肪塞栓症の1例
近藤 立樹渡邉 出渡邉 健司津久井 亨杉山 義晴宇田 憲司石山 純三吉井 仁
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2015 年 18 巻 5 号 p. 682-685

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抄録
骨盤骨折後に発症した電撃型脂肪塞栓症(FES)の1例を経験した。症例は80代男性。2階から飛び降り,腰部・左右大腿部・後頭部を打撲し当院に救急搬送された。搬送時バイタルサインは安定していた。搬送2時間後より突如意識レベル低下と呼吸循環状態の悪化を認めたが,確定診断に至らぬままICU入室,人工呼吸管理となった。第2病日に再検された頭部MRI検査でstarfield patternの高信号域を認め,FESと診断された。その後,呼吸循環管理等により全身状態は徐々に改善し,車椅子への移乗も可能なまでにADLが改善して,第50病日に後方病院に転院となった。FESはきわめて予後の悪い病態とされているが,骨折後の患者において突然の意識障害・呼吸不全等の症状を認めた場合,本症も鑑別診断の1つに挙げ,早期より呼吸循環・脳圧管理等の集中治療を開始することが予後の改善に有用であると考えた。
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© 2015 日本臨床救急医学会
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