日本臨床救急医学会雑誌
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症例報告
アルコール離脱痙攣発作など多彩な合併症を伴い治療に難渋した軸椎骨折の1例
海老原 貴之矢作 宏後藤 英聖松本 光司中島 伸哉徳橋 泰明
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2015 年 18 巻 5 号 p. 675-681

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抄録
症例は,軸椎歯突起骨折(Anderson-d’Alonzo分類type Ⅲ)の70代男性。Injury Severity Scoreは18点。入院後にアルコール離脱痙攣発作,CO2ナルコーシスなどを生じたため,内固定を回避しhalo-vest固定を行った。しかし固定除去後に偽関節となり,サルベージ手術としてC1-2内固定を施行したが,深部手術創感染を生じた。創内に抗菌薬(vancomycin+gentamicin)を含有させた骨セメントビーズを留置し,最終的に感染源の左側インプラントを抜去して社会復帰に至った。アルコール離脱症候群に対する治療薬は,当初適正量であっても,全身状態により薬剤蓄積や薬効遷延が生じることがあるため,患者管理の経過中,注意が必要である。また頸椎術後感染は,抗菌薬含有骨セメントビーズを使用することにより制圧することが可能であった。
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© 2015 日本臨床救急医学会
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